福祉住環境整理について知りたい! やり方や相談できるところは?

福祉住環境整理とは、高齢者や体の不自由な人が快適に生活を送れるように、その人の状況に合わせて住居を整理することです。高齢化社会を迎えた今、1人で生活する高齢者は珍しくありません。若いときは快適だった家も高齢になるにつれて住みにくくなるケースも多いでしょう。福祉住環境整理を行えば高齢になっても快適に暮らすことがで、施設への入所もスムーズに行えます。
今回は、福祉住環境整理のやり方やメリットなどを解説しましょう。

  1. 福祉住環境整理とは何か?
  2. 福祉住環境整理を行う方法
  3. 福祉住環境整理を業者に依頼する方法
  4. 福祉住環境整理に対するよくある質問
  5. おわりに

この記事を読めば、福祉住環境整理の必要性や相談先などもよく分かります。親や兄弟が高齢になってきたという人や、福祉住環境整理に興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.福祉住環境整理とは何か?

はじめに、福祉住環境整理の定義や行うメリットを解説します。

1-1.福祉住環境整理の定義

前述したように、福祉住環境整理(介護整理)とは高齢者や体の不自由な人が、不便を感じず暮らせるように家の中を整理することです。ひと昔前までは高齢者は若い年代の家族と同居し、面倒を見てもらうのが一般的でした。しかし、現在は高齢者の1人暮らしは珍しくありません。長年暮らしてきた家でも年を取るにつれて暮らしにくくなることもあります。そこで、福祉住環境整理をすることにより年を取っても安心して暮らせるようにするのです。

1-2.福祉住環境整理と一般的な整理整頓の違い

一般的な整理整頓は必要なものと不要なものを分別し、家の中をすっきりさせることです。一方、福祉住環境整理は不要なものを片づけることは同じですが、「高齢者や体の不自由な人が生活しやすいように」家の中を整えます。たとえば、高齢になるにつれて高いところにある収納場所は使いにくくなるでしょう。そこで、不要なものを処分し、取りだしやすい場所に必要なものをまとめます。また、バリアフリーも福祉住環境整理の一環です。

1-3.福祉住環境整理を行うメリット

福祉住環境整理を行うと、以下のようなメリットがあります。

  • 持ちものの管理が楽になり、ゴミ屋敷や汚部屋(おべや)になるのを防げる
  • 転倒事故が減り、寝たきりになりにくくなる
  • 屋内の移動が楽になり、より暮らしやすくなる
  • 施設へ入所する際、準備が楽になる
  • 自立した生活ができる期間が長くなる
  • 持ち主が亡くなった後、遺族が遺品整理に悩まなくてすむ

2.福祉住環境整理を行う方法

この項では、福祉住環境整理を行う方法やコツ、相談先などを解説します。

2-1.福祉住環境整理はいつから行う?

福祉住環境整理は、一度に行うよりも時間をかけて行った方がうまくいきます。今は、生前整理といって定年後に持ちものを整理する人も増えました。そのときに、福祉環境整理を念頭に持ちものの置き場所を決めておくなどしましょう。年を取るにつれて新しいものごとを受け入れにくくなるので、ある日突然家族が一斉に持ちものを整理しだすと反発されます。可能ならば、本人と共に行うといいですね。

2-2.相談先はあるの?

福祉住環境整理を行いたいが、やり方が分からず人手もないという場合は、介護事務所や自治体の福祉課などに相談してみましょう。高齢者の入院をきっかけに福祉住環境整理を行いたいという場合は、病院のソーシャルワーカーに相談してください。現在は、福祉住環コーディネーターという民間資格もできました。福祉住環コーディネーターが在中している介護事務所を探してみるのもひとつの方法です。

2-3.自分たちで福祉住環境整理を行うコツ

家族で福祉住環境整理を行う場合は、

  • 不用品と必要なものをより分ける
  • 不要なものを処分する
  • 必要なものを高齢者が取りだしやすい場所に収納する

といった手順で行います。家具や家電がファミリー用ならば、単身者用に切り替えると管理も楽になるでしょう。また、家の中が整理整頓されていれば、バリアフリーリフォームも簡単です。前述したように、一度に整理を行うと高齢者が反発することもあります。ですから、整理を行う前に話し合ったり、高齢者が主体となったりして行うようにしましょう。

3.福祉住環境整理を業者に依頼する方法

この項では、福祉住環境整理を業者に依頼する方法やメリットを紹介します。ぜひ、参考にしてください。

3-1.福祉住環境整理を行ってくれる業者とは?

福祉住環境整理を行ってくれる業者には、不用品回収業者や遺品整理業者があります。現在、福祉住環境整理だけを専門に行う業者はありませんが、不用品回収業者が業務の一環として遺品整理・福祉住環境整理を行っているところもあるので、利用してみましょう。

3-2.業者に依頼をするメリット

福祉住環境整理を行えば、不用品が大量に出ます。自治体によってはゴミの分別ルールが厳しく、不用品をゴミとして処分するのも大変ということもあるでしょう。また、家電リサイクル法対象家電(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン)やデスクトップパソコンは、どの自治体でもゴミとして回収してもらえません。業者に依頼すれば、これらも一括回収してもらえます。また、家に不用品がたくさんあり家族だけでは片づけきれないという場合や、子や孫が遠方に住んでいて片づけに協力できないという場合も、依頼すると便利です。

3-3.依頼までの流れ

福祉住環境整理を業者に依頼したい場合は、インターネットなどで業者を探しましょう。2-2でご紹介した相談先で、業者を紹介してくれることもあります。単に「不用品だけを処分してほしい」という場合は、一般的な不用品回収業者でも大丈夫です。福祉住環境整理についてアドバイスが欲しいという場合は、福祉住環境整理の実務経験があったり福祉住環境コーディネーターが在籍している業者を選びましょう。
依頼をすると、業者が見積もりを出してくれます。その金額に納得がいったら契約しましょう。見積もりは無料というところも多いので、複数の業者に見積もりを出してもらってもいいですね。

3-4.注意点

不用品回収や生前整理・福祉住環境整理は、まだ歴史が浅いので料金相場が定まっていません。しかし、ゴミ屋敷でもない限り、不用品の処分に驚くほど費用がかかることはないでしょう。業者の中には安い金額の見積もりを出し、後で理由をつけて追加料金を請求するところもあります。ですから、見積もりで不明な点があったら遠慮せずに質問しましょう。また、見積もりがいい加減な業者は依頼しないことです。さらに、業者の中には積極的にセールスをかけ、無理やり契約に持ち込んで不当に高い料金を請求するところもあります。あまりしつこいセールスをするところは、利用しないようにしましょう。

4.福祉住環境整理に対するよくある質問

Q.福祉住環境整理は、どのくらいの時間がかかりますか?
A.その人の持ちものや協力具合によりますが、無理にものを処分したりしないように注意しましょう。

Q.持ちものを一切捨てずに福祉住環境整理を行えますか?
A.絶対に行えないというわけではありませんが、難しいでしょう。

Q.まだ使える持ちものを売却することはできますか?
A.可能ですが、製造から5年以内の家電など、売却できるものは限られているので、無理をしないようにしましょう。

Q.管理しきれなくなった趣味のコレクションなどは、どうしたらいいですか?
A.売却したり同好の人などに譲ってもいいでしょう。ただし、勝手に行ってはいけません。

Q.業者に依頼した場合、どのくらいで片づけてくれますか?
A.依頼してから1週間以内には見積もりが出るでしょう。片づけ自体は1日以内に終わることが大半です。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は福祉住環境整理についていろいろと解説しました。福祉住環境整理はまだ新しい整理方法なので、マニュアルなどは存在していません。福祉住環境コーディネーターや介護士・ケアマネージャーなどとも相談し、高齢者にとって使いやすい家づくりをしていくことが大切です。焦らず、時間をかけて行いましょう。そうすれば、意見が衝突することもありません。

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