葬儀後の手続きを要領よくこなす法則~実は短い手続きの申請期間~

葬儀後には一息つく暇もなくさまざまな手続きをしなくてはいけません。

「各方面への挨拶(あいさつ)」から「遺品整理」はまだ序の口で、本当に大変なのは各種手続きです。しかも、死後にやる手続きには「申請期間」が設けられています。うっかり期間を逃してしまうと、手続きはより複雑になってしまうでしょう。要領よくこなすためにも「葬儀後にしなくてはいけない手続き」を知っておくことは必要不可欠といえます。

そこで、葬儀後の手続きについて記事にまとめてみました。大切な人との思い出が作業の多さに押しつぶされてしまわないよう基礎知識を学んでおきましょう。

  1. 葬儀後の手続きとは?
  2. 特に優先すべき葬儀後の手続き
  3. 葬儀後の手続き~相続関連~
  4. 葬儀後の手続き~補助金・給付金など~
  5. 葬儀後の手続きで気を付けること
  6. 葬儀後の手続きにかんするよくある質問

この記事は10分以内に読み終えることができます。現在、「手続きの進め方に困っている方・事前準備をしておきたい方」は、ぜひご覧ください。明日から取りかかることができるようになります。

1.葬儀後の手続きとは?

葬儀後の手続きに慣れている方は少ないことでしょう。ですが、「死後の手続き」に苦手意識を持つ必要はありません。その理由を解説していきます。

1-1.定義

葬儀後の手続きとは、家族・親族・同居人などが亡くなったあとにやる「役所などへの各種届」です。死後におこなう段取りは、主に「葬儀関係」「届け出関係」「相続関係」の3つですので覚えておきましょう。葬儀後の手続きは前者を除いた「届け出関係」と「相続関係」となります。

1-2.目的

葬儀後の手続きはシンプルに考えましょう。要は「亡くなった」という事実を各方面に報告し、故人が世に残したさまざまな品を集めるということを目的としています。
上記をこなしていくと、役所などの手続きが自然と終わっていくでしょう。

1-3.必要性

葬儀後に必要となる手続きには、およそ「申請期限」が設定されています。おまけに期限が短いので可能な限り早く「何をするか」を把握する必要があるのです。

実用書の「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」という書籍がベストセラーになっていることからも、その重要性がわかることでしょう。

1-4.種類

葬儀後の手続きはいくつかの種類にわけることができます。

  • 【役所関連】死亡届・健康保険・所得税・年金など
  • 【保険関連】生命保険など
  • 【相続関連】遺産分配など
  • 【名義変更あるいは解約関連】免許証・携帯電話・銀行口座・土地や建物の管理など

上記のほかに借金の有無によっても変わります。おそらく1番項目が多いのは「名義変更あるいは解約関連」になるでしょう。故人がクレジットカードを所持していた場合、死後であっても未払いの料金は精算する必要があります(遺産相続する場合)。

2.特に優先すべき葬儀後の手続き

葬儀後の手続きには優先順位があります。申請期間を逃すとあとあと面倒になるケースが多いので、この項できちんと押さえておきましょう。

2-1.届け出と期限

2-1-1.国民健康保険

脱退は死後14日以内と定められています。市区町村の国民健康保険窓口で申請可能です。

2-1-2.所得税の確定申告と納税

死後4か月以内と期間に余裕がありますが、葬儀後の手続きでやることはほかにもたくさんあるので油断禁物です。税務署で手続きができます。

2-1-3.年金

「年金受給権者死亡届」というものを出してください。注意していただきたいのが、国民年金は死後14日以内ですが、そのほかの年金は死後10日以内だということです。市区町村国民年金窓口で手続きしましょう。

2-1-4.土地登記変更

土地・建物の登記変更が当てはまります。申請期間はありませんので、後回しでも構いません。

2-1-5.生命保険の請求

生命保険の「死亡保険金」を請求しましょう。とはいえ、期間は死後3年以内ですので慌てなくても大丈夫です。保険会社の窓口で対応してもらえますので、葬儀後に一応連絡だけでも取っておきましょう。

2-1-6.銀行預金

預貯金の名義変更です。死亡が確認されしだい速やかにおこなう必要があります。お使いの契約先窓口で手続き可能です。

2-1-7.各種公共料金

解約あるいは名義変更です。死亡が確認されしだい速やかに各会社に連絡しましょう。

2-1-8.死亡届

最後に記しましたが、「死亡届」は葬儀後に何よりも優先して申請する必要があります。
期限は「7日」だと覚えておいてください。医師から渡される「死亡届」は「死亡診断書」と一体になっていますので、必要事項を記入したら、

  1. 故人あるいは届出人の住所地にある役所
  2. 亡くなった人の本籍地にある役所

上記どちらかの役所に提出しましょう。「臨終に立ち会った医師」や「死亡を確認した医師」が主に死亡診断書を作成してくれます。

例外として、不慮の事故では「死亡診断書」ではなく「死体検案書」の交付を受けることになると知っておいてください。事故死の場合は、警察の指示で「検死」をするためです。

死体検案書の受け取りには条件があり、原則「3親等までの遺族」と定められています。どうしても難しい場合は委任状が必要です。運転免許書などの身分証明書を持参しましょう。

2-1-9.埋火葬許可申請書

埋火葬許可申請は「死亡届の申請」と同時に提出してください。「埋火葬許可証」という許可証を受け取ることができます。火葬・埋葬に必要なものになりますので大切に保管しておきましょう。

なお、埋火葬許可証は「火葬の日」に火葬場へ持参します。火葬場の人に提出しましょう。すると、「火葬したことの証明」として裏書をして返却してくれます。

そうして、「火葬証明書」となり、同時に「埋層許可証」としての効力も持つのです。最後は納骨する「墓地あるいは寺院」に提出して終わります。

3.葬儀後の手続き~相続関連~

葬儀後の手続きで「相続」に注目して解説していきます。こちらも期限があるので気を付けてください。

3-1.相続にかんする各種名義変更

【不動産名義変更】
死亡が確定しだい地方法務局で手続きしましょう。

【自動車所有権の移転】
期限は死後15日以内です。陸運局支局で手続きしてください。

【クレジットカードの解約】
死亡が確認されしだい速やかに契約先窓口に問い合わせてください。手続きの内容は「カード会社」によって異なります。事前に電話で確認し、必要な書類をそろえて訪ねましょう。なお、故人が使用したカードの未払い金は「相続人」が支払わなければなりません。利用明細が気になる場合は、情報開示をしてもらうこともできます。

3-2.相続税

相続税の申告あるいは納税は、死後10か月以内に税務署で手続きしなくてはいけません。
また、相続方法には「単純承認・相続放棄・限定承認」の3種類があります。相続財産の内容によって、どれか1つを選択しましょう。

3-2-1.単純相続

「単純承認」は故人の権利義務をすべて引き継ぐ方法です。

プラス・マイナスにかかわらず遺産を相続すると認識して間違いありません。民法では「単純相続」が相続の基本とされていますが、およそ採用されるのは相続財産の内容が「プラス」の場合に限ります。

3-2-2.相続放棄

「相続放棄」を選ぶと「始めから相続人ではなかった」と見なされます。

プラス・マイナスにかかわらず遺産は一切受け取らない、権利を放棄するということです。相続放棄を選択する場合は、「相続が開始されたことを知った日」から3か月以内に家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出する必要があります。

相続放棄は相続財産の内容が「マイナス」の場合に選ばれる方法です。

3-2-3.限定承認

「限定承認」とは相続で得た「プラスの財産」で「マイナスの財産」を精算し、プラスの財産が残っていれば相続するという方法です。「限定承認」は相続財産の内容が「プラスかマイナスかがわからない」という場合に選ばれます。

相続放棄と同様、期限は3か月以内です。ただ、財産目録を作成して「限定承認申述書」を家庭裁判所に提出するという若干の違いはあります。

3-3.故人が世帯主の場合

世帯に15歳以上の家族が「2人以上」いる場合、死後14日以内に「世帯主変更届」を市区町村に提出しなくてはいけません。世帯主を変更する必要があるからです。「記入用紙」は役所に見本があるので書き方に迷わないでしょう。

ただ、「残された世帯員が1人」「複数人でも15歳以上の人は1人」「故人が世帯主でない」という場合は、「世帯主変更届」は提出する必要がありません。自動的に残りの1人または15歳以上の人が世帯主となります。

4.葬儀後の手続き~補助金・給付金など~

葬儀後に下りる補助金・給付金は手続きをしなければいけません。この項でもその期限や窓口を解説していきます。

4-1.「国民保険・国民年金の葬儀・死亡補助金」

【国民年金】
葬儀後に一時死亡金請求ができます。死後2年以内に市区町村の国民年金窓口で手続きをしましょう。

【国民健康保険】
葬儀後に葬儀費用を請求できます。死後2年以内に市区町村の国民健康保険窓口で手続き可能です。

4-2.遺族基礎年金の申し込み

葬儀後に国民年金の「遺族基礎年金請求」ができます。死後5年以内であれば市区町村の国民年金窓口で手続きが可能です。

なお、遺族年金の受け取りは「故人に生計を維持してもらっていた」ということが大前提となります。生計を維持してもらっていた人の概念は、故人と生計を同じにしており、年収850万円を得られない方だと覚えておいてください。

4-3.「パスポート・運転免許証・携帯電話」

パスポート・運転免許証・携帯電話の手続きに期限はありません。

  • パスポートは都道府県の「旅券課」
  • 携帯電話の名義変更・解約は「契約先」
  • 運転免許証の返却は「警察署」

それぞれ上記の場所で手続きが可能となります。

ただ、携帯電話にかんしては、月々の料金が「自動口座引き落とし」ですと毎月「口座から月額料金が引かれる」ということを忘れてはいけません。のちの清算が手間になりますので、早めに手続きする方がよいでしょう。

4-4.四十九日法要

上記でご紹介した各種手続きだけでなく、葬儀後にある「四十九日法要」の手配も進める必要があります。日本では死後四十九日目に「故人が仏様の元へ向かう」とされているため、ないがしろにしてはいけません。

法要に際して、下記の4つを決めておきましょう。

4-4-1.法要をおこなう日時

四十九日目ちょうどに法要をおこなう必要はありません。

ですが、重要な供養ですので、可能な限り多くの方に集まっていただける日時を設定してください。傾向としては「四十九日以前の最も近い土日」に決める方が大半となります。 なぜなら、四十九日を過ぎることは「故人の魂を待たせる」ことになるためです。

4-4-2.式場の手配

菩提寺(ぼだいじ)があるなら寺院ですが、自宅や斎場施設でもおこなうことができます。
ただ、自宅以外の場所は予約が必要です。余裕を持って手続きをしておきましょう。

4-4-3.案内状の手配

基本は「法事の案内状」を作成します。1か月半前には作成に取りかかり、1か月前には送付できるよう進めましょう。案内状は往復はがきを使い、

  • 誰のどんな法要か
  • 場所
  • 日時
  • 会食はあるのか

について必ず記入しましょう。

4-4-4.僧侶(そうりょ)の手配

忘れてはいけないのが読経をしていただく僧侶です。事前に依頼する必要があります。会場の手配と同時進行で早めに行動しましょう。また、「僧侶の派遣」というサービスもあります。希望する宗派の僧侶にきていただけて、 お布施も相場より安くなることが多いです。ぜひ検討してみてください。

5.葬儀後の手続きで気を付けること

この項では葬儀後の手続きで気を付けるべき点を解説していきます。いわば、絶対にしなければならないことですのでしっかりと要点を押さえておきましょう。

5-1.注意すべき点

前述していますが、葬儀後に「死亡届」「火葬・埋葬」「相続関連」の手続きをしなかった場合、ほぼ確実に損をすると覚えておきましょう。上記の3つは「やらなければならないこと」ではなく「絶対やった方がよいこと」です。

5-1-1.死亡届の提出

なぜ絶対にしなければならないかというと、「戸籍法第86条」で定められているからです。死亡を知っていたにもかかわらず死亡届を提出していないと罰せられる可能性があります。

5-1-2.火葬・埋葬

墓地・埋葬にかんする法律「第3条の規定」で、「原則として死体(もしくは妊娠7か月以上の胎児)は、死後(もしくは死産後)24時間以内は火葬してはならない」と定められています。
ですが、遺体を寝かせたままにしていると「死体遺棄罪」に問われることもあるのです。

5-1-3.相続手続き

自分に「相続が発生していることを知っていた」という場合、葬儀後に手続きをしなければ自動的に「単純相続」の扱いになります。要は、故人の遺産がプラス・マイナスにかかわらず、すべて引き継ぐことになるのです。遺産の評価額が基礎控除額より多ければ相続税の支払い義務が発生し、借金があれば返さなくてはいけません。

また、ほかの相続人が出産し相続人が増えると、当然ながら自分が相続できる額が減ってしまいます。

5-2.ポイント

故人が残した財産が「相続税」によっていくらになるのか計算するのを「財産評価」と呼びます。相続税はある財産評価額以下ならかかりません。非課税枠(基礎控除額)という扱いになるのです。

現在、相続税の基礎控除額は最低でも「3000万円」となります。この財産評価額以下の場合、相続人の人数にかかわらず相続税に関する手続きは一切必要ありません。

5-3.生前に準備すべきこと

葬儀後ですと手続きに追われてしまうことは前述してきました。

当然ですが、葬式には費用もかかります。ですが、「生前予約・積み立て」をご存じでしょうか? 不慮の事故死だと難しいですが、高齢になってきたら「葬儀の生前予約」や「葬儀費用の積み立て」を考えてみましょう。葬儀にかかる費用がぐっと割引になります。

葬儀社によっては最大20%~30%の値引きが見込めるというのですから、利用しない手はないでしょう。今は自分で墓を購入し、「死んだらここに入る」と準備万端の人もいるぐらいです。生前に手配するのは寂しい気がしますが、残された家族のことを考え、検討してみてください。

6.葬儀後の手続きにかんするよくある質問

この項ではインターネットを介して寄せられるお問い合わせ内容をまとめてみました。葬儀後の手続きについてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q.葬儀後にセールス販売の電話が多いのですが対処法はあるのでしょうか?
A.よく相談を受けます。おすすめするのは「固定電話を留守番設定」にする方法です。故人の知り合いから電話があれば留守録にメッセージを残すでしょう。親族や友人とのやり取りは携帯電話にすれば問題ありません。

Q.「遺品整理の専門業者」と「不用品回収業者」は何が違うの?
A.遺品整理は「亡くなった人の生活用品を整理しながら部屋を片付ける」ということで、片っ端から処分するわけではありません。また、遺品整理の専門業者は「貴重品・重要書類」の捜索にも慣れています。相続内容がわからない方にはおすすめです。

Q.悪臭がひどいけど大丈夫?
A.特殊清掃も承っております。消臭・除菌まで可能です。

Q.生前整理ってやった方がよいのでしょうか?
A.葬儀から各種手続きなど、残されたご家族はやることがたくさんあります。それこそ悲しむ暇がないほどに。手続きに必要な書類をまとめておけば負担を減らすことができ、ご家族も気持ちの整理を付けることができるでしょう。

生前に準備をすると寂しい気持ちになりがちです。しかし、最近では「終活」という言葉が使われ、生前整理に対する前向きな姿勢がうかがえます。弊社では生前整理のお手伝いも承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

Q.時間が作れないのですが遺品整理に立ち合いは必要ですか?
A.万が一のトラブルを防止するため、業者の多くは立ち合いを求めるでしょう。ですが、弊社の場合は作業中に外出していただいても問題ありません。作業中の様子を「Webカメラ」で撮影しており、お客様にリアルタイムで公開いたします。お気付きのことがあった際は遠慮なくご連絡ください。上記のシステムを採用することにより、遠方のお客様からも多数の依頼を受けております。

まとめ

最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございます。

人の死後に手続きと格闘するのは本末転倒な気もしますが、実状そうもいっていられません。少しでも早く終わらせて、亡くなった方の冥福(めいふく)を祈りましょう。

また、生前整理を考え始めたという方には「エンディングノート」をおすすめします。葬儀後などの手続きを書き留めておくノートですから、1冊あると残された人が助かるはずです。

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