
終活に断捨離が効く! 老前整理で軽やかに暮らすための不用品処分法
ものへの執着心をなくし使わないものを処分する断捨離は、単なるブームを超え、ものとの付き合い方から人生を見直す方法としても定着しています。その断捨離を終活に生かす方法が、今ひそかに注目されているのです。親の遺品整理に直面し、そろそろ自分の終活も考えなければと思っている人もいることでしょう。この記事では、生前整理や老前整理に興味がある人や、年老いてしまう前に自分の力で悔いのない終わりを迎えたい人のために、終活における断捨離について詳しく説明していきます。
自分のものは自分で整理したい。そんな人に有益な情報が満載です。ぜひ参考にして、老前から老後まですっきりと過ごしてください。
1.終活と断捨離について
1-1.終活とは?
終活とは「人生の終わりに向けての活動」を意味し、人が人生の最期を迎えるにあたって、大切なさまざまなことを事前に準備することを指します。もともとは葬儀やお墓、財産の分与など、残された人が困らないように準備する意味合いが強かったのが終活です。今では、より良いエンディングに向けて、身の回りの物品や人間関係などを生きているうちに整理する「生前整理」も盛んに行われるようになっています。さらに、最近では、自分が快適に老後を過ごすための老前整理が注目されており、40代・50代から取り組む人も増えてきました。
1-2.断捨離とは?
断捨離とは不要なものを減らし生活に調和をもたらそうという思想で、やましたひでこさんによって提唱されました。もとはヨーガの行法である断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)を応用したもので、単なる片付け術とは一線を画したものです。断・捨・離にはそれぞれ以下のような意味が込められています。
- 断→不必要なものを断つ。入ってくる時点でせき止め、ものを増やさない
- 捨→今の自分に必要がないものを捨てる。家の中にたまったものを減らす
- 離→ものへの執着から離れる。ゆとりある空間と身軽な人生を手に入れる
1-3.社会背景と流行
日本では、経済の急成長による大量消費と「もったいない」精神によって、買ったものは使わなくても捨てずに取っておく人が多く、どの家にもものがため込まれていきました。日本の消費社会が成熟期を迎えた中で、21世紀の初めよりものを減らす片付け術が脚光を浴びるようになり、断捨離も世の中に受け入れられていったのです。あふれるものの中から本当に必要なものだけを選んで残し、無駄なものを捨てる生き方は、これまでの大量消費時代のアンチテーゼのように広まっていきました。
1-4.目的、必要性
昭和の時代までは片付け術=収納術で、いかにたくさんのものを効率よくしまうかに腐心してきた主婦たちは、断捨離によって「ものを減らせば片付けがしやすい」ということを覚えました。
経済成長とともにものを増やし、ものに執着してきた団塊世代も、ものが飽和したことで、「快適さとは何か」「暮らしの質とは何」かを問う姿勢を受け入れたのです。ものを買う段階から本当に必要かどうか見極め、好きなものを大切に使う、不要なものは身近に置かない、こうした断捨離の考え方は、単なる片付け術ではなく生き方として多くの人に支持されています。
2.終活における断捨離とは
終活のなかで、生前整理として、残された人が困らないように、財産分与の取り決めや不用品の処分をしておきます。老前整理は、まだ老人になる前の若くて気力・体力ともにあるうちに、ものを減らし必要なものだけを残す取り組みです。一方断捨離は、ものの要・不要を見極め、ものを減らして暮らしに調和をもたらすことを目的としています。
2-1.それぞれの違い
断捨離では今の自分にとって、そのものが必要か否かを見極めていきます。一方終活では、残された人のことを思って整理をしていく部分が違うのです。
2-2.重なる部分
終活は生前整理や老前整理でものを減らし必要なものだけを残します。一方断捨離も、ものの要・不要を見極め、ものを減らしていく部分は共通です。
2-3.終活における断捨離とは?
終活における断捨離は、自分のことに加え、残される家族のことを考えてものの要・不要を判断していくことが大切です。今の自分にとっては大切でも、残された家族にとっては不要なものもあることを理解しましょう。終活の断捨離をしておくことで、本人以外では判断がつかないようなものの整理のために家族を煩わせることがなくなります。
2-4.生前整理や老前整理と終活、断捨離について
終活の一環として、生前整理や⽼前整理を断捨離という形で行います。健康で、体力・気力ともに十分な老前から、ものと暮らしを見つめ直し、自分の持ち物を整理していくのです。
3.終活における断捨離の方法
3-1.いつごろから始めるのがいいか
終活を葬儀の準備だととらえると、まだまだ先でもいいと思うかもしれませんが、「その時」がいつやって来るかは誰にもわかりません。特にものを整理する断捨離は、病気や認知症などの症状がない、健康なうちに済ませておくことが大切です。
3-2.なんのためにするか
現在の暮らしを、身軽で豊かにしてくれるのが普通の断捨離ですが、終活のための断捨離は、よりよいエンディングを迎えるために行います。要らないものに埋もれて最後を迎えるのは想像をしただけで悲しい気持ちになるものです。不要なものを思いきり処分し、大切なもの・遺(のこ)したいものを厳選して、すっきりとした気持ちで備えましょう。
ものをため込まず、ものを減らす生活習慣を身に着けることで、収納や生活動線も改善し、快適な毎日を送ることができるようになります。
3-3.具体的になにをするか
断・捨・離の3段階に基づいて自分の持ち物を整理しましょう。
- 断つ:今の生活に不要なものを持ち込まない。無意識にもらっていたタダのもの、化粧品のサンプルや、割りばしやティッシュ、カタログ類ももらわないようにする
- 捨てる:今の自分に明らかに不要なものを整理する。衣類・雑貨・本・などの個人的なものから、家電・家具・食器など、広く自分が使っているもの、使っていたものを捨てる
- 離れる:思い出の品や記念品なども整理の対象とし、ずっと取っておいたものへの執着を捨てる
3-4.注意点
あまりにも、残される家族のことばかりを考えて処分するのも考え物です。自分にとっての思い出の品や趣味の道具など、今の自分の暮らしに活力を与えてくれるものは残すといいでしょう。
4.終活の断捨離のすすめ方
4-1.ポイント、大事なこと
終活の断捨離のポイントは「捨」と「離」です。今使っているものだけを残し、「過去に使っていたけど今は使っていないもの」や、「いつか使うだろうと取っておいたもの」は思いきって処分します。この時、「思い」も手放すのがポイントです。無理やりなんでも捨てるのではなく、「もったいない」と罪悪感を持つことがないよう、きちんと自分に納得させることが大切になります。
4-2.断捨離の流れ
部屋ごとではなく、カテゴリー別に取り組みましょう。例えば衣類なら、クローゼットの中・タンス・衣装ケースなど、すべての衣類を一度に整理すると効果的です。
- すべてを一か所に出して要・不要に分ける
- 迷ったものは迷い中の箱に入れて保留にする
- 不要のものは処分する
- 要るものはタンスなどに戻す
- 迷い中のものは後日改めて要・不要を判断する
4-3.要・不要チェックリスト
- いつも使っているものか?
- 気に入って使っているか?
- 今使っていないものは、使う場面が具体的に思い浮かぶか?
- もしもの時のために取っておいたものか?
- 壊れている場合は、直してでも使いたいものか?
- しまう場所はあるか?
5.終活の断捨離のコツ
5-1.なにから処分するか
なるべくいつも使っているカテゴリーから取り組みます。基本は、現在の生活に必要なものだけを残すことです。断捨離の勘を養うために、要・不要の判断がつきやすいものから取り組むといいでしょう。
5-1-1.要・不要の判断がつきやすいもの
手始めにキッチンの食品でコツをつかみましょう。食品は、賞味期限がはっきりしているため、要・不要の判断がつきやすく、断捨離初心者におすすめです。続いて化粧品関連。こちらも使用期限があるので、取り組みやすいでしょう。タオル関連も判断しやすい品目です。納戸や物入れに押し込んである壊れた家電なども、すぐに断捨離できるでしょう。
5-1-2.プライベートなもの
断捨離のコツをつかんだら、衣類・バッグ・靴・書籍など、個人で使っているものに取り組みましょう。衣類なら2年間一度も着なかったら捨てる、本なら購入後1年間一度も読まなかったら捨てるなど、自分でルールをつくって処分するといいでしょう。
5-1-3.家族共有のもの
家族と同居している場合、次に取り組むのは、家族共有のものです。これは自分の意志だけでは決められない部分もあるので、注意が必要ですが、捨てる際には家族に一言断れば問題ありません。たとえば、キッチン用品やリネン類などは、傷み具合や数量を設定するなどして、処分していきます。
食器は自分で買ったもの以外にも、親やそれ以前から使っているものや頂きものがあるため、捨てる判断が難しい場合があるでしょう。欠けているものや不ぞろいのものは処分し、気に入りのものだけを残すことを基本とします。
5-1-4.思い出の品・趣味の品
手紙・写真・文集など思い出の品をどう処分するか、自分なりのルールを考えます。すべて処分する必要はなく、手元に置いておきたいものは残しましょう。写真などはデジタル化するなど、残す方法を考えておきます。趣味の品は、現在も取り組んでいるものはだけ残し、過去の趣味のものは処分してもいいでしょう。
5-1-5.大きなもの
大型家具や家電品など大きなものも断捨離します。処分しそびれた家具や、使わなくなったピアノ、古い扇風機や壊れた空気清浄機など、不要な品がそのまま物置に置きっぱなしということはありませんか? 大きなものを断捨離すると達成感もあり、スペースに余裕もできます。
5-2.捨ててはいけないもの、必要なものは?
断捨離が進むと、処分スピードも加速していきますが、大事なものは捨てないように気をつけてください。金融や不動産に関連する重要書類は、定位置にしまっておき、収納場所を家族に伝えておきましょう。以下のものは捨てないようにします。
- 年金や保険証券類
- 不動産の契約書・権利書
- 家の図面・仕様書
- 実印・銀行印、預金通帳
- 携帯電話・ケーブルテレビなどの契約書類
- ウェブサービスのIDやログイン情報の控え
5-3.迷ったときにはどうするか
どうしても迷うものは、一時的に迷い箱にいれておきます。30日後にもう一度、要・不要のチェックをするのです。この手順を繰り返すことで、自分の要・不要の基準がしっかりしてくるので、ものへの執着が弱くなっていくのを実感できるでしょう。
5-4.注意点
一度にやろうとすると挫折しがちです。自分の取り組みやすいところから、一日15分でもいいのでまずは取り組んでみましょう。ただし、だらだらとやると、常に断捨離をしている状態となって疲れてしまうので、大規模な断捨離はある程度期限を区切って集中的に行うと効率的です。
6.終活における断捨離の不用品をどうするか
終活の断捨離では、多数の不用品が出ます。不用品を処分するといっても、すべてゴミとして捨てるわけではありません。リサイクルに出すなどムダなく処分しましょう。処分方法には、大きく分けて自分で行う方法と専門の業者に依頼する方法があります。ここではそれぞれのメリットやデメリット、注意点をご紹介しましょう。
6-1.自分で処分する方法
一番身近な自治体の回収から、知人に譲ったり、リサイクルに出すなど、個人でできる方法がいくつかあります。
6-1-1.自治体回収を利用する
自分で不用品を処分するには、自治体の回収を使用する方法があります。ゴミの回収の品目やルールは自治体によって違うため、自分の地域の自治体のホームページや広報誌を確認しましょう。自分でやると費用が安く抑えられる反面、運搬や解体の手間がかかり、決められた日にしか出せないなどのデメリットがあります。
- 燃えるゴミ/燃えないゴミ:指定の袋があれば購入して使用。決まった曜日に集積所に出す
- 粗大ゴミ:リサイクルセンターなどに連絡の上、粗大ゴミシールの購入などが必要。指定された日時に決められた場所に出す
- 小型家電リサイクル品:回収ボックスなどに出すことが可能。回収可能な品目は自治体によって違うため問い合わせが必要
- 家電リサイクルの対象4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機):回収対応しない自治会が多い。委託業者やメーカーで回収となる(有料)
6-1-2.人に譲る
ギフトのタオルセットや食器、景品としてもらった品など、未使用なら人に譲っても喜ばれます。地域のバザーや地元のミニコミ誌の「譲ります」コーナーに出してもいいでしょう。服飾やアクセサリーなど身につけるものを譲るのは、よほど親しい間柄に留めておきます。高価な宝飾品などは生前贈与となる場合があるので、注意が必要です。
6-1-3.リサイクルショップなどに売る
ブランド品の時計やバッグ・宝飾品など、市場価値が高いものは、リサイクルショップに買い取ってもらってもいいでしょう。ネットオークションへの出品も可能です。書画骨董の類は、信頼のおける骨董商に依頼した方が無難でしょう。製造後1~3年の高年式家電も高く買い取ってもらえる可能性があります。うまく買い手がつけば現金が手に入ってお得です。一方で、必ずしも売れるとは限らず、自分でリサイクルショップに持ち込んだり、ネットオークションに出品したりする手間がかかります。
6-2.遺品整理業者に依頼する方法
生前整理の場合でも遺品整理業者に依頼することができます。ダストネット東京のように、遺品整理の専門知識のある回収・買い取り業者だと、買い取った価格が不用品処分の金額と相殺されて、少ない出費で済むでしょう。
6-2-1.業者選びのポイント
信頼できる業者を選ぶことが大切です。不用品買い取りなどの認可を受けている業者を選びましょう。見積もりはしっかり取り、見積もりの明細に不明瞭な表記がなく、料金が明確に提示されるところなら安心です。分別から袋詰め・搬出までやってくれる業者なら、追加で作業量などの費用が発生することもありません。断捨離は不用品が大量に出ることもあるので、回収容量により定額パックプランなどがあるところだとお得です。
6-2-2.注意点
無料回収をうたい、トラックで回ってくる業者は無許可営業のことがあるので要注意です。また、無理やり家に上がり込んで貴重なものを安価に買い取って行ってしまう「押し買い」の被害も報告されているので気を付けましょう。
7.よくある質問
Q:以前断捨離に挫折しているので、できるか心配です。
A:断捨離は一気にやろうとすると大変で、挫折しやすくなります。終活のためという目的ができると、モチベーションにつながるでしょう。まずはクローゼットだけ、テーブルの上だけ、というように、小さなスペースから取り組んでみてください。
Q:服を処分する基準がわかりません。いい方法はないですか?
A:食品に賞味期限があるように、服にも賞味期限があると考えるといいでしょう。正確には耐用年数のことですが、普段着は2年、クリーニングに出すようなスーツなどは3年と言われています。これを断捨離に応用し、耐用年数を過ぎた服は処分するといいでしょう。
Q:見積もり金額に納得できない場合、キャンセルできますか?
A:業者により対応が違うので注意が必要です。たとえば、ダストネット東京では、現地でお見積もりをし、金額に納得いただくまで作業はしません。この時点でキャンセルしても料金は発生しないので安心です。中には見積もり出張費が有料、キャンセル料が発生するという業者もあるので、あらかじめ確認しましょう。
Q:母から譲り受けた着物が大量にあります。私はほとんど着物を着ませんが、断捨離すべきですか?
A:自分がお金を出しても買いたいと思えるものは残してもいいでしょう。特に着物に興味がないなら、買い取りや人に譲るか、思い出の着物から小物をリメイクする方法もあります。
Q:終活の断捨離は一回で終わるのでしょうか?
A:終活のための断捨離は、老後を身軽に過ごすためにするものです。一度断捨離をしても、その後またものをため込んでは元の木阿弥となってしまいます。断・捨・離の3段階を日頃から意識して生活してみてください。
Q:老前とはいつのことですか?
老前とは老人になる前の、体力や気力が十分にある年代のことを指します。60歳以降を老人とした場合、主に50代を指しますが、40代でも老前と言えるでしょう。
まとめ
断捨離はただものを捨てる片付け手法ではなく、ものとの付き合い方を考え直して身軽に生きるための暮らしの知恵です。終活に生かすことで、ものにとらわれない軽やかな老後を送ることができます。不用品は自治体回収や買い取り・回収業者をうまく活用して、お得に処分しましょう。